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伝統構法-追っ掛け大栓の木組み- [伝統構法]

梁・桁の繋ぎ方、追っ掛け大栓といいます。二本の繋ぐ箇所を噛み合うように加工して込み栓を打ちしっかり繋ぎます。噛み合う場所は長さ36cm、木の素材が持つ摩擦を生かして力をしっかり伝えます。一般的な腰掛鎌継ぎに対して5倍程度の耐力があります。
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伝統構法-長ほぞ込み栓の木組み- [伝統構法]

伝統構法の木組みで一番古くから受け継がれているものです。
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柱と土台、梁・桁を繋ぎます。柱を長ほぞ込みに加工して込み栓を打ちます。込み栓が引き抜け外れるのを防ぎ、長ほぞは揺れによる傾きにしっかり耐えます。伝統構法は釘を使わないとよく言われますが(実は釘を使います)このように込み栓を活用して木を組むことからそういう話が広まったと思います。

伝統的木構造の非科学的な実験 [伝統構法]

ブログ記事に気仙大工さんから意味深なコメントがありました。実は伝統構法の科学的検証には落とし穴も造られています。それは2008年に行われた振動実験から始まっています。実験のレポートが昨年公表されたのですが、そのレポートから公開実験からは知ることができなかったこの実験の非科学的な内容が明らかになりました。専門的な話で難しいですがお付き合い下さい。

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実験の流れは次の通りです。

A棟の振動実験
1回目の振動実験(BCJ-L2波100%)建築基準法が想定している地震 公開実験
※振動実験により一部土壁の剥落柱の損傷がおこる
 ↓
2回目の振動実験(JMA神戸波100%)阪神震災で観測された地震 関係者に公開
※前回の損傷に加えて1階の土壁が7割程度剥落1階柱の6割程度に割れ
 ↓
3回目の振動実験(JR鷹取波100%)阪神震災での最大地震 関係者に公開
※今までの損傷により1階柱がすべて損傷し倒壊防止ワイヤーに吊られる状態実質倒壊

この実験を例えると、健全な人間にケリを入れて膝を損傷させ、続けて蹴り続け骨折させ、それを更に蹴り続け義足の生活を余儀なくさせる行為です。

そして、この3回目の実験を終えた建物を解体しその損傷が伝統的構法の欠点だと指摘しているそうです。3回も続けてこれだけの地震を入力してどの地震の入力でどこが壊れたかとても検証は出来ません。

そもそも伝統構法は地震によって倒壊しにくくするため有る程度の損傷を受け入れる構造です。その構造の弱点を研究するためには損傷を受けた毎にその損傷箇所を解体して調査する必要があります。そういう実験を繰り返してデータを積み上げるのが今早急に行われるべき事です。

この実験の中心者である首都都市大学大橋教授の意図は伝統的構法を陥れる思いがあるとしか見えません。

さて、私がこのような実験を任されたら1回目の実験でJMA神戸波100%を行います。そして、その被災した建物を早急に解体して損傷を調べます。それは BCJ-L2波100%以上の地震波が起きる確率が高い。被災したときの安全性を見るならJMA神戸波100%を入力し損傷を見るのが現実的と考えます。また、JMA神戸波100%で倒壊しない自信を私は持っています。BCJ-L2波100%のデータが必要であれば、JMA神戸波100%で被災させた建物を修繕して再度実験することを企画します。

木質構造の第一人者であればこれぐらいの企画力を持っていただきたかったです。

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伝統構法について [伝統構法]

 伝統構法の特徴を一言でいうと、それは柱に太い貫(ヌキ)を通すことです。縦に伸びた柱と柱をつなげるのは、金具でもそのほかの製作物でもなく、柱と同じ性質をもった木材です。意外に思うかもしれませんが、その貫によって建物が地震や風などの横からの力に粘り強く抵抗します。

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 すべての柱が互い貫で繋がり建物に対する大きな力を分散させる機能を持ちます。そして柱を貫通する「貫」は建物が崩壊するのを防止します。とても大きな地震で傾いても崩れることがない人命が助かる造りです。

 在来工法は筋交いが地震などに抵抗しますが、大きな地震の場合筋交いが折れてしまい、建物が倒壊する壊れ方をします。設計で考えていた以上の地震にあうと1階が潰れてしますような壊れ方をします。

構造計算では筋交いの数を考えればよいので楽です。貫は複雑なので、伝統構法は構造計算がなかなか確立しませんでした。また明治維新以後、国家は近代化を急速に進めるためにも西欧文化を積極的に取り入れてきました。西欧では建物の「壁」構造強度として重要視したので、日本の伝統的な寺院や仏閣などは、壁がほとんど見当たらないため、伝統構法は遅れたものとみなしてしまいました。結果伝統構法の構造計算は非常に遅れていました。

 近年ようやくコンピュータによる分析技術も向上し、実験装置も著しく進歩してきて、やっと伝統構法の構造を分析することができるようになりました。時代の流れの中で不当に評価されなかったことがやっと日の目を見ようとしています。

ホームページには問答形式で纏めています。
まだまだ解りにくい点があるので今後も手直ししていきますが、
感想など頂けると勉強になります。

http://homepage2.nifty.com/syotaku/syokai01.html

伝統構法の耐震補強<再掲示> [伝統構法]

地震もあったので用意していたネタを止めて以前書いた耐震補強の記事を再掲示します。

伝統構法は在来工法と特性が異なるので耐震補強は特別な配慮が必要です。
ここでは伝統構法独特の耐震補強について書いてみます。

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キックオフフォーラム無事終了 [伝統構法]

BLOGでご案内しました、伝統的木造キックオフフォーラムは無事に終わりました。あいにく私は参加できなかったのですが、出席した仲間から盛況に終わったと連絡有りました。仕切り直しの第一歩ですが、フォーラムが成功して良かったです。

さて、今回の伝統的木造における大転換。事の始まりはこの振動実験だったと私は確信しています。

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農家の計画案 [伝統構法]

前回の計画案より一回り小さい面積です。

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今回は簡易パースです。切妻越屋根のスッキリした外観としました。

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二間続きの和室で伝統・風習を伝える配慮をし、LDKで今の生活に合わせています。ダイニングが奥まっていますが越屋根の吹抜と天窓で明るく開放的です。こう言うのは内観パース作らないと解りにくいですね。祖母(祖父)の部屋も造り三世代同居に対応しています。間取りは家相にも配慮しています。

こうやって間取りを考えているときが一番楽しいですね。

基準法見直し傍聴 [伝統構法]

建築基準法の見直し検討委員会を傍聴してきました。今回適合判定についての議論を行いました。委員には地方行政の方、大阪府と横浜市の担当者が委員会におられるのですが。大阪府の方が自分たちの能力のなさを認め根を上げていたのが大変残念でした。複雑な構造計算は出来ないから適判が必要だという話をされました。そう言う話を聞くと適判以前のルート2の一部及びルート3の確認はでたらめだったのかと疑惑の念を感じてしまいます。収穫は横浜市の方が伝統構法の複雑な構造計算も確認を受け付けますと表明してくださったことです。地方行政の質を国民にとって公平にしていただきたいと思います。

伝統構法新委員会キックオフフォーラム@京都 [伝統構法]

昨年政権交代後の動きの一つに伝統構法事業の見直しがあります。先ほどその記事を再掲載しました→http://jyujyo.blog.so-net.ne.jp/2009-11-20

それをふまえて、来月6月5日に京都にて新しい委員会のフォーラムがあります。
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見直された今までの委員会では下ろされた委員長をはじめ伝統構法に詳しくない別の言い方をすると理解をしていない顔ぶれによって変な運営がされていました。

新しい委員会の委員長は伝統構法に長く関わっている鈴木祥之先生へとなりました。そして、四つの委員会の主査の先生方も伝統構法に理解のある顔ぶれとなりました。
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ほか、20数名の委員はあまり替わっていないと聞いていますが、伝統構法にとって良い展開が見えてくる運営を期待しています。

「キックオフフォーラム」との名称から参加者を交えて立ち上げようという思いを感じます。私は残念ながら都合付かず、参加できませんが。知り合いが多数参加するので、フォーラムの結果やその後の運営もおって情報を出していけたらと思います。

色々ある政権交代ですが、こういう展開も起きています。交代がなかったというのも問題だったとも思います。

農家の計画案 [伝統構法]

大きな農家の計画案です。昔ながらの和室続き間を残して風習も次の世代に伝えようと考えました。そして、今のライフスタイルに合うリビングを中心とした間取りを上手く組み合わせています。そして、外観は地域になじむ伝統的な佇まいとしました。
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間取りの工夫は中庭です。北側の中庭ですが平屋なのでとても明るくなります。
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実際これに近い案が見積もりまで進みかけたこともありました。
いつかなんとか実現したいですね。
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